2013-07-23

7/19-21 イカ釣り - Beverly, Salem, Marblehead

昨年の6月は連日記録的なイカの大漁だったが、今年は5月に1週間だけ釣れた後イカが姿も形もなくなって、6月はまったくイカが釣れなかった。

7月に入って、小型のイカがちらほら釣れ始め、先週になって大型のイカも含めて、あちこちで釣れるようになってきた。どうやらマサチューセッツノースショアでのイカのシーズンが昨年から1か月半ほど遅れて本格的に始まったようだ。これがどのくらい続くか、また昨年のように大漁が続くのか。



7月19日金曜日の夜から、3日続けてのイカ釣り。地元の釣り場のBeverly、Salem、Marblehead の各釣り場を、夜な夜な釣り友の Tony と転々としながらイカを釣った。毎晩3桁に届く釣果。奥と子供たちは今日本に行っているし、いつもイカを配っている友人たちも半分くらいは日本に帰っているので、あまりキープしても仕方がない。大きいイカを20杯くらいずつキープして、後はすべて釣り場の他の人にあげてきた。

昨年のフィーバーの影響だろうか。 連日、どこもかしこもイカ釣りの人々で溢れかえり(中国人、カンボジア人、ベトナム人のグループが多い)、話によると Rhode Islands からの遠征組までいるとのこと。こう人が多いと、釣り場が荒れるんだよな。ちょっと心配。


連載:イカ釣り (2) タックル

連載2回目は、タックルについて。

まずは、ロッド。アメリカでは岸からのイカ釣りというのはマイナーなので、専用ロッドなどというものは売っていない。

イカ釣りは常にロッドを手に持ってしゃくり続ける釣りなので、軽いのに越したことはない。釣れるイカのサイズは1ポンドを超えるようなサイズはそうそうないので、トラウト用のレーティングがウルトラライトないしライトのロッドで充分である。

マサチューセッツノースショアの人気のあるイカの釣り場は、ピアやポンツーン。基本的にジグはちょい投げ程度で、足元近くを釣ることがほとんどである。いくらライトロッドと言っても、長さがあると持ち重りし、気持ちよく釣れないので、可能な限り短めというのが基本。

ポンツーンや水面からそれほど高くないピアでは、5フィートから5フィート6インチくらい、ちょっと水面から高いところにあるピアで釣るときは、6フィートから6フィート6インチくらいまでが使いやすい。また、胴付で錘を付けてキャストするときは、ポンツーンからでも、6フィート以上あったほうが扱いやすい。

私の好みのロッドは、イカの条件を満たすもの。
  •  リールを付けたとき、重心がリールを持つ手の人差指あたりにくるもの。先重りのしないロッドは、軽い力でしゃくることが出来るため疲れないし、イカを掛けたときの重みがダイレクトに伝わってくる。
  • 穂先はしなやかだが、それ以外はある程度張りがあるもの。穂先が硬すぎると、バラしが多くなる。かといって全体が柔らかいと、ジグをしゃくったときにワンテンポ遅れがでたり、イカを掛けた感触がしっかり伝わってこない。
  • 小さめのガイドが多めについているもの(マイクロガイドデザイン)。ロッドから伝わってくる情報量が多い。
イカ釣りにのめりこんでいくと、この釣り場で、この仕掛けで、この水深で、この風の強さの時は、もう少しこんな感じが良い、なんていうのを突き詰めていくと、たかがイカ釣りのために何本も長さやアクションが少しずつ違うロッドが欲しくなってしまう。市販のロッドには自分の希望を満たすものはないので、結局あれやこれや自作することになってしまう。ただ、このあたりは本当に「より良い感触」を求める趣味の世界なので、釣果にはあまり関係ない。

もし、これからイカ釣りをしてみようという方には、まずは5フィート6インチか、6フィートのトラウト用のライトアクションのロッドを1本。このあたりが一番万能である。素材は、中弾性のグラファイト(IM6 とか銘打ってあるもの)がお勧め。そんなに高いものではない(40ドルも出せばそこそこ「使える」ものが買える)。

私のお気に入りの自作ロッドは、穂先のしなやかさを出すために、グラスファイバーソリッドのブランクのテーパーを調整して、グラファイトのブランクに継ぎ足しているが、市販のグラスファイバーのロッドやグラス・カーボンコンポジットの、ウルトラライトまたはライトアクションのロッドは概して重く、全体に柔らかすぎて、えらく鈍感なことが多い(例えば、UglyStik)。ロッドを選ぶときは、軽く振ってみて、穂先のしなりが早く収束するものがお勧め。穂先がいつまでも振動しているようなロッドは、ジグが着底した感覚や、イカがもぞっと乗った感触がつかみにくい。



続いて、リール。はっきり言って、小型のスピンニングリールであればなんでも良い。ドラグを必要とする釣りではないし、遠投するわけでもないので。サイズはシマノで言えば1000番から2000番。

釣り友達の Tony や Kenny は、ステラ($600+)を使っているが(Tony はステラより軽いのが良いと言って、今度日本からヴァンキッシュを取り寄せるとのこと)、あくまでも「感触」を求める趣味の世界なので。

では私は何を使っているかというと、去年日本で買ってきた、シマノのレアニウムCI4+ C2000HGS (超軽量。今思うと、ローギアの 2000 にしておけばよかった。)、US シマノの Stradic FI 1000 (FJ が出た頃、セールで買った。ちょっと重めだが、しっかりしている。)、US ダイワの Fuego A 1000 (日本の 07 ルビアスに相当。これも昨年66%オフのセールで購入。)、その他いくつか Quantum や US ダイワの安物リール。やはり、軽いリールが良いが、これもロッドとのバランスで。鈍重なロッドに軽いリールを使っても、バランスが悪く、先重り感がひどくなるだけ。

もし、このようなイカ釣りをするのに、アメリカ国内で買えるベストチョイスはと訊かれたら、現時点では US シマノ の Stradic CI4 1000ML だろうか。以前、Tony に多分これが良いよとアドバイスしたらすぐに買って1シーズン使っていた。ただ、どうも気に入らないことがあったようで(大型のイカを掛けると、巻きが重くなる)、別の釣り友達に売ってしまった。私は何回か使わせてもらったが、個人的にはこのようなライトタックルの釣りには非常に良くあってると思う。


最後に、ライン。ラインはとても重要だと思う。この釣りを楽しむのは、ジグを思ったように操作できるのが一番で、ラインとロッドが適当であれば良いと考えている。

ナイロンのモノは扱い易く、ガイドに絡むこともあまりないが、伸びがあるので、ラインから伝わってくる感触が鈍くなる。また、この釣りは多少の根掛かりは避けられず、根掛かりする度にジグをロストするのは高くつくので、ある程度の強度は欲しいのだが、太いラインはキャストした時や水中での抵抗が大きいので私はまったく使わなくなった。フロロカーボンのラインは、ナイロンよりストレッチが少なくてよいのだが、ラインメモリが強く少々扱いにくいし、強度の問題はナイロンとたいして変わらない。

ということで、現代の釣りでは常識となった、いわゆるスーパーライン(PE)。新製品が出る度に、あれこれ試してきたが、現在のところ私がこの釣りでベストだと考えているのが、Berkley の NanoFil。


このラインは、ダイニーマの繊維(スペクトラとダイニーマは商標で、結局は同じもの)を編むのではなく、束ねて固めてある、いわゆる Fused Line と呼ばれているものの一種(だと思う)。昔からある、Berkley の FireLine みたいなものであるが、FireLine は断面が扁平して均一ではないのに対し、このラインは真円で、表面につやがあり、ガイドの滑りが抜群に良い。オリジナルの PowerPro のような4つ編み(ないし、3つ編み)は、編み目がガイドを通過するときに糸鳴りがしたりするが、このラインはそれがまったくない。ガイドの抵抗が極めて少ないので、軽いジグを投げたときに気持ちよく飛んでいく。

ラインが少々疲れてきても、PE の割にははりがあり、ガイドに巻き付いて絡むトラブルも少ない。私はこの NanoFil が発売になった一昨年から、イカ釣りに使っているが、非常に満足している。ラインの強度は、10ポンドテストないし12ポンドテスト(太さは、ナイロンの半分程度なので、ナイロンモノラインで4ポンドから6ポンド相当のはず)。このくらい強度があれば、根掛かりしたジグの回収もほぼ問題ないし、このくらいの強さで引っこ抜けなければ、これ以上いくら強度を上げても大して結果は変わらないと思う(ラインブレークしなくても、ジグの針が破損する)。人によって多少好みの差があるが、私のイカ釣り仲間でこのラインに代えた人たちは皆満足しているようだ。

この NanoFil、弱点は FireLine と同じく、消耗してくるとささくれてくること。強度は極端に変わらないと思うが、表面の滑らかさ、ガイドのすべりが悪くなる。といっても、先端のほんの2-3mくらい範囲なので、少々疲れてきたなと感じたら、先端の滑りが悪くなったところを切ってしまうだけで、またもとの状態に近くなる。

もちろん、NanoFil 以外にも良さそうなラインはいくつかある。例えば、昨年発売になった、PowerPro の Slick 8。8本編みで表面も滑らか、コーティングも少し固めで、ライントラブルも少なそうだ。

だいたいどのスーパーラインも、色違いで何種か出ているが、この釣りに関していえば、夜でも良く見えるライン、例えば、ホワイトとかイエローをお勧めする。イカはほぼ100%ジグが落ちていくときに乗ってくる。イカが見えているとき以外は、あたりは落とし込み釣りのように、糸ふけで見る。夜釣りでは、グリーン系の糸はほとんど見えない。




2013-07-17

連載:イカ釣り (1) ジグ

マサチューセッツに来て、岸からのイカ釣りをするようになって15年近くなる。日本でのイカ釣りの経験はほぼ皆無だったので、こちらでイカが釣れるとわかっても、どんな仕掛けがよいのか、いつ、どこで釣ればよいのか、暗中模索だった。最初の頃は、ギリシャ人のイカ釣りがうまい人(今は釣り仲間の一人、いつもこのブログに登場する、Tony ではない)が何十杯も釣っている横で、たったの1杯とか、かなり苦い思いをした。

それでも、シーズンになるとこまめに釣り場へ通い、日本に帰った時に仕入れてきたエギをあれこれ試したりして、やっとイカ釣りはこうすれば良いという考えが固まってきた。

最近は、釣り場であった人や、日本人の知人から、どうやって釣ればたくさん釣れるようになるのか、聞かれることも多くなった。

イカ釣りというのは、本当に差がでる釣りで、釣り方を良く知っている人が真横で100杯釣っているのに、10杯もいかないということが多々ある。長い時間を掛けて、最近はこの100杯釣るグループになったかな という気がする。少々えらそうではあるが、これから何回かに分けて、私が現在の時点で考えている、「イカの釣り方」について書いてみようと思う。(何年かしたら、あの頃はえらそうに講釈をたれていたなと思うかも)

さて、第1回目は、たぶん多くの人が興味あるであろう、ジグの選択。私が釣り場で一番良く聞かれるのは、「良く釣れてるけど、どんなジグを使っているの?」という質問。正直なところ、万能なジグがあり、そのジグさえ使っていれば、たくさん釣れるようになるというものでもないのだが、確かに重要なポイントの一つである。

イカ釣りに行くとき、「5つだけジグを選ぶ」とする。現時点で、私の選ぶジグは、以下のとおり。

  1. ヤマシタ ナオリー レンジハンター 1.8S
  2. ヤマシタ ナオリー レンジハンター 1.8B
  3. ヤマシタ エギスッテ スリム 1.7N
  4. Colman's Bullet Head Squid Jig (Non-Weighted - Standard)
  5. Colman's Bullet Head Squid Jig (Non-Weighted - Custom)
まずヤマシタのレンジハンター。こちらは、サイズが 1.5、1.8、2.2 と3種類、各々のサイズに、シャロー(S)、ベーシック(B)、ディープ(D) がある。この S/B/D は、沈んでいく速度のレーティングで、S がもっとも遅く、D が最も速い。最近は、S と B の中間の、BS というのも発売されたらしい(もともと日本国外で売られていた、Type R というものと同等と思われる)。


小さいイカが多いときは、1.5 の方が針掛かりが良いこともあるが、イカの反応自体は 1.8 でもあまり変わらないし、1.5 は針が一列(D だけは二列だったと思う)で直径が小さめなので、大きめのが掛かると、バレることが多くなる。2.2 はこのあたりのイカのサイズからすると少し大きすぎて、反応が悪くなるようだ。

スピードに関して言えば、少なくとも、私の行く釣り場では、D はちょっと速すぎて、単体ではちょっと使いにくい。釣り友達のOさんは、この D と S をタンデムで使う仕掛けをよく使うが、単体ではまず使わない。

基本的には、B を使うケースが多いが、S はゆっくり落ちていくので、水面近くに活性の高いイカの群れが見えているときや、水深10フィートくらいまでの浅場で有利になる。

「ジグはこれがお勧めですよ」と教えると、次に必ず聞かれる質問は、だいたいが「どの色が良いですか?」である。私も昔はあれこれ色違いをとっかえひっかえして、今日はピンク系だとか、色が重要な要素だと思っていたが、現在の私の考えは、「あんまり関係ない」である。まぁ、多少はあるかもしれないが、形状や速度・アクションなどの要素の方がよっぽど重要だと考える。

まぁ、「何色でも好きなものを買えば?」というのも不親切きわまりない。ということで、私の回答は、「オレンジかレッドヘッドの布巻き」である。理由は、イカの反応がよいというよりも、他の色に比べて見やすい、である。この見やすいというのは浅いところにいるイカを釣るのに非常に重要な要素で、イカの反応を見ながら誘いを入れたり、イカがジグを抱いたタイミングでフッキングすることが可能になり、確実に釣果があがる。

レンジハンターはエギスタイルのジグの中ではベストと思われるが、問題はアメリカ国内で入手が困難なこと。私は日本に行く度に私の分と釣り仲間の分を買いだめしてきたりしていたが、朗報がある。だいぶ昔釣り場で知り合った日本人の Tomo という人(彼は釣りの名人で、このあたりのカヤックフィッシングのコミュニティでは有名人)が最近 Salem に Tomo's Tackle という店を開いた。彼は日本からレンジハンター各種を仕入れてきてリーズナブルな値段で売っているので、レンジハンターが欲しければ問い合わせしてみてください。(勝手にこんなこと言っちゃっていいのかな?)


次は、ヤマシタのエギスッテスリム。



こちらは、エギとしてもスッテとしても使える、非常にゆっくり落ちていくタイプ。 5フィートぐらいしか水深がないところ、表層を泳いでいるが反応の悪いイカなど、どちらかというと、横の動きで釣りたいときに使用する。もう7,8年前になるだろうか。Beverly Pier の以前ハーバーマスターの建物があったあたりで釣りをしていたとき、このジグの効果は絶大だった。あの頃は、他の釣り人の5倍から10倍くらい釣っていたことも多々あった。

1.7 というのは絶妙なサイズで、このあたりの平均的なイカには最適なのではないかと思う。あとこのジグの一番の特徴は、名前にもあるように、細長いこと。以前、似たようなサイズや、少し小型のジグなどいろいろ試してみたが、このエギスッテスリムより良かったことは一度もなかった。違いはやはり形状だと思う。どうもこのあたりの以下は、でっぷりしたジグよりも、細めのジグの方が反応が良いようだ。最初に書いた、レンジハンターも、他メーカーの似たようなサイズのジグに比べて、やや細めである。

近年はこのジグの出番は少なくなったが、それでも胴付き仕掛けで底に錘をつけるスタイルで釣りをするときはいつもこれを使っている。やはり、非常にゆっくりなのが良いらしい。


このジグ、針が細いので、根掛かりしても、ロストする率が非常に低い。私は、胴付き仕掛け用のものとは別に、錘を接着して速度調整したものを、浅場で広く探りたいときなどに使っている。

残念ながら、こちらは廃番となってしまったようで、近い将来手に入らなくなるかもしれない。現在のところ、上記の用途で代わりになるものは見つからないので、以前まとめ買いをして、30くらいストックしている。


最後に、Colman's の Bullet Head ジグ





上の写真はいずれも Non Weighted のバージョンだが、左は新しいモデル(Custom)で、右は古いモデル(Standard)。どうやら、古いモデルは在庫限りの模様。この2つのモデル、実は沈む速度がだいぶ違う。私はこの2つのジグは、底近くを釣るときに多用するのだが、新しいモデルはかなりゆっくり目で、20フィート以上水深があるところではかったるい。ということで、新しいモデルは浅めの釣り場や、意図的にゆっくり落としたいとき、古いモデルは風が強めでラインがあおられるときや、深めの釣り場、と使いわけている。

このジグは3年ぐらい前から多用している。以前、Woods Hole などに釣りに行ったとき、Vietnamese の連中が好んで使用していた。初めて使ったときは、どうも慣れていなかったようで、あまり良い印象はなかったのだが、3年前に Marblehead で喰い気のないイカが見えていて、あれこれ試しているうちに、このタイプのジグにだけ反応したことがあった。

アメリカ国内で比較的簡単に手に入るので、根掛かりしてもあまり痛くないこと、一般的なエギなどに比べて速く沈むこと、などなど、いろいろメリットがあり、底の釣りで多用しているうちに、かなり釣り方がわかってきた。現在は、今回紹介した中でも一番使っている時間が長いかもしれない。

私の釣り仲間の間では、このジグは、Stupid Jig と呼ばれている。Tony と話していたとき、彼がこのジグの名前を知らなくて、「あの、なんだっけ、stupid なやつ」と言っていたのがきっかけで、すっかり Stupid Jig という名前が定着してしまった。

Bullet Head ジグには、Weighted バージョンもあるのだが、フックが大きく根掛かりしやすいこと、ちょっと速すぎるので、使いにくい。昨年、Salem で25フィートくらいの水深の底近くで釣っていたとき、Weighted バージョンを底に、エギスッテスリムを胴付きにして大量に釣っていたことがあったが、このスタイルは本当にイカの大群がいて、活性が高いときしかうまくいかない。

私としては、このスタイルのジグで、いろいろな速度のものが欲しい。Weighted はちょっと速すぎるし、古いモデルでも風が強いともう少し重めのものが欲しくなるので、最近は上の Non-Weighted のものを買って、鉛テープを巻いて、重さを調整したものをいくつか持っている。