2013-07-23

連載:イカ釣り (2) タックル

連載2回目は、タックルについて。

まずは、ロッド。アメリカでは岸からのイカ釣りというのはマイナーなので、専用ロッドなどというものは売っていない。

イカ釣りは常にロッドを手に持ってしゃくり続ける釣りなので、軽いのに越したことはない。釣れるイカのサイズは1ポンドを超えるようなサイズはそうそうないので、トラウト用のレーティングがウルトラライトないしライトのロッドで充分である。

マサチューセッツノースショアの人気のあるイカの釣り場は、ピアやポンツーン。基本的にジグはちょい投げ程度で、足元近くを釣ることがほとんどである。いくらライトロッドと言っても、長さがあると持ち重りし、気持ちよく釣れないので、可能な限り短めというのが基本。

ポンツーンや水面からそれほど高くないピアでは、5フィートから5フィート6インチくらい、ちょっと水面から高いところにあるピアで釣るときは、6フィートから6フィート6インチくらいまでが使いやすい。また、胴付で錘を付けてキャストするときは、ポンツーンからでも、6フィート以上あったほうが扱いやすい。

私の好みのロッドは、イカの条件を満たすもの。
  •  リールを付けたとき、重心がリールを持つ手の人差指あたりにくるもの。先重りのしないロッドは、軽い力でしゃくることが出来るため疲れないし、イカを掛けたときの重みがダイレクトに伝わってくる。
  • 穂先はしなやかだが、それ以外はある程度張りがあるもの。穂先が硬すぎると、バラしが多くなる。かといって全体が柔らかいと、ジグをしゃくったときにワンテンポ遅れがでたり、イカを掛けた感触がしっかり伝わってこない。
  • 小さめのガイドが多めについているもの(マイクロガイドデザイン)。ロッドから伝わってくる情報量が多い。
イカ釣りにのめりこんでいくと、この釣り場で、この仕掛けで、この水深で、この風の強さの時は、もう少しこんな感じが良い、なんていうのを突き詰めていくと、たかがイカ釣りのために何本も長さやアクションが少しずつ違うロッドが欲しくなってしまう。市販のロッドには自分の希望を満たすものはないので、結局あれやこれや自作することになってしまう。ただ、このあたりは本当に「より良い感触」を求める趣味の世界なので、釣果にはあまり関係ない。

もし、これからイカ釣りをしてみようという方には、まずは5フィート6インチか、6フィートのトラウト用のライトアクションのロッドを1本。このあたりが一番万能である。素材は、中弾性のグラファイト(IM6 とか銘打ってあるもの)がお勧め。そんなに高いものではない(40ドルも出せばそこそこ「使える」ものが買える)。

私のお気に入りの自作ロッドは、穂先のしなやかさを出すために、グラスファイバーソリッドのブランクのテーパーを調整して、グラファイトのブランクに継ぎ足しているが、市販のグラスファイバーのロッドやグラス・カーボンコンポジットの、ウルトラライトまたはライトアクションのロッドは概して重く、全体に柔らかすぎて、えらく鈍感なことが多い(例えば、UglyStik)。ロッドを選ぶときは、軽く振ってみて、穂先のしなりが早く収束するものがお勧め。穂先がいつまでも振動しているようなロッドは、ジグが着底した感覚や、イカがもぞっと乗った感触がつかみにくい。



続いて、リール。はっきり言って、小型のスピンニングリールであればなんでも良い。ドラグを必要とする釣りではないし、遠投するわけでもないので。サイズはシマノで言えば1000番から2000番。

釣り友達の Tony や Kenny は、ステラ($600+)を使っているが(Tony はステラより軽いのが良いと言って、今度日本からヴァンキッシュを取り寄せるとのこと)、あくまでも「感触」を求める趣味の世界なので。

では私は何を使っているかというと、去年日本で買ってきた、シマノのレアニウムCI4+ C2000HGS (超軽量。今思うと、ローギアの 2000 にしておけばよかった。)、US シマノの Stradic FI 1000 (FJ が出た頃、セールで買った。ちょっと重めだが、しっかりしている。)、US ダイワの Fuego A 1000 (日本の 07 ルビアスに相当。これも昨年66%オフのセールで購入。)、その他いくつか Quantum や US ダイワの安物リール。やはり、軽いリールが良いが、これもロッドとのバランスで。鈍重なロッドに軽いリールを使っても、バランスが悪く、先重り感がひどくなるだけ。

もし、このようなイカ釣りをするのに、アメリカ国内で買えるベストチョイスはと訊かれたら、現時点では US シマノ の Stradic CI4 1000ML だろうか。以前、Tony に多分これが良いよとアドバイスしたらすぐに買って1シーズン使っていた。ただ、どうも気に入らないことがあったようで(大型のイカを掛けると、巻きが重くなる)、別の釣り友達に売ってしまった。私は何回か使わせてもらったが、個人的にはこのようなライトタックルの釣りには非常に良くあってると思う。


最後に、ライン。ラインはとても重要だと思う。この釣りを楽しむのは、ジグを思ったように操作できるのが一番で、ラインとロッドが適当であれば良いと考えている。

ナイロンのモノは扱い易く、ガイドに絡むこともあまりないが、伸びがあるので、ラインから伝わってくる感触が鈍くなる。また、この釣りは多少の根掛かりは避けられず、根掛かりする度にジグをロストするのは高くつくので、ある程度の強度は欲しいのだが、太いラインはキャストした時や水中での抵抗が大きいので私はまったく使わなくなった。フロロカーボンのラインは、ナイロンよりストレッチが少なくてよいのだが、ラインメモリが強く少々扱いにくいし、強度の問題はナイロンとたいして変わらない。

ということで、現代の釣りでは常識となった、いわゆるスーパーライン(PE)。新製品が出る度に、あれこれ試してきたが、現在のところ私がこの釣りでベストだと考えているのが、Berkley の NanoFil。


このラインは、ダイニーマの繊維(スペクトラとダイニーマは商標で、結局は同じもの)を編むのではなく、束ねて固めてある、いわゆる Fused Line と呼ばれているものの一種(だと思う)。昔からある、Berkley の FireLine みたいなものであるが、FireLine は断面が扁平して均一ではないのに対し、このラインは真円で、表面につやがあり、ガイドの滑りが抜群に良い。オリジナルの PowerPro のような4つ編み(ないし、3つ編み)は、編み目がガイドを通過するときに糸鳴りがしたりするが、このラインはそれがまったくない。ガイドの抵抗が極めて少ないので、軽いジグを投げたときに気持ちよく飛んでいく。

ラインが少々疲れてきても、PE の割にははりがあり、ガイドに巻き付いて絡むトラブルも少ない。私はこの NanoFil が発売になった一昨年から、イカ釣りに使っているが、非常に満足している。ラインの強度は、10ポンドテストないし12ポンドテスト(太さは、ナイロンの半分程度なので、ナイロンモノラインで4ポンドから6ポンド相当のはず)。このくらい強度があれば、根掛かりしたジグの回収もほぼ問題ないし、このくらいの強さで引っこ抜けなければ、これ以上いくら強度を上げても大して結果は変わらないと思う(ラインブレークしなくても、ジグの針が破損する)。人によって多少好みの差があるが、私のイカ釣り仲間でこのラインに代えた人たちは皆満足しているようだ。

この NanoFil、弱点は FireLine と同じく、消耗してくるとささくれてくること。強度は極端に変わらないと思うが、表面の滑らかさ、ガイドのすべりが悪くなる。といっても、先端のほんの2-3mくらい範囲なので、少々疲れてきたなと感じたら、先端の滑りが悪くなったところを切ってしまうだけで、またもとの状態に近くなる。

もちろん、NanoFil 以外にも良さそうなラインはいくつかある。例えば、昨年発売になった、PowerPro の Slick 8。8本編みで表面も滑らか、コーティングも少し固めで、ライントラブルも少なそうだ。

だいたいどのスーパーラインも、色違いで何種か出ているが、この釣りに関していえば、夜でも良く見えるライン、例えば、ホワイトとかイエローをお勧めする。イカはほぼ100%ジグが落ちていくときに乗ってくる。イカが見えているとき以外は、あたりは落とし込み釣りのように、糸ふけで見る。夜釣りでは、グリーン系の糸はほとんど見えない。




1 件のコメント:

  1. ロッドは胴付なら何でもいいのですが、エギ直結で感触をつかむなら、確かに市販のはちょっと探す必要ありますね。Dick'sでざっと見た感じ2-3ありそうでしたが、ULでもアクションは小さいスプーンをキャストしやすいというものとは全然別物ですし。ラインはソフト系ナイロンの6LBくらいが沈みも良くていい気はします。ただ、エギが$2ならOKですが、$10なら10LB以上のBraidにしておこうと思ってしまいますね。NanoFilたまたま以前に買って巻いていない10LBがあったので使おうと思うのですが、さてどのリールに巻こうか。。

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