2013-07-17

連載:イカ釣り (1) ジグ

マサチューセッツに来て、岸からのイカ釣りをするようになって15年近くなる。日本でのイカ釣りの経験はほぼ皆無だったので、こちらでイカが釣れるとわかっても、どんな仕掛けがよいのか、いつ、どこで釣ればよいのか、暗中模索だった。最初の頃は、ギリシャ人のイカ釣りがうまい人(今は釣り仲間の一人、いつもこのブログに登場する、Tony ではない)が何十杯も釣っている横で、たったの1杯とか、かなり苦い思いをした。

それでも、シーズンになるとこまめに釣り場へ通い、日本に帰った時に仕入れてきたエギをあれこれ試したりして、やっとイカ釣りはこうすれば良いという考えが固まってきた。

最近は、釣り場であった人や、日本人の知人から、どうやって釣ればたくさん釣れるようになるのか、聞かれることも多くなった。

イカ釣りというのは、本当に差がでる釣りで、釣り方を良く知っている人が真横で100杯釣っているのに、10杯もいかないということが多々ある。長い時間を掛けて、最近はこの100杯釣るグループになったかな という気がする。少々えらそうではあるが、これから何回かに分けて、私が現在の時点で考えている、「イカの釣り方」について書いてみようと思う。(何年かしたら、あの頃はえらそうに講釈をたれていたなと思うかも)

さて、第1回目は、たぶん多くの人が興味あるであろう、ジグの選択。私が釣り場で一番良く聞かれるのは、「良く釣れてるけど、どんなジグを使っているの?」という質問。正直なところ、万能なジグがあり、そのジグさえ使っていれば、たくさん釣れるようになるというものでもないのだが、確かに重要なポイントの一つである。

イカ釣りに行くとき、「5つだけジグを選ぶ」とする。現時点で、私の選ぶジグは、以下のとおり。

  1. ヤマシタ ナオリー レンジハンター 1.8S
  2. ヤマシタ ナオリー レンジハンター 1.8B
  3. ヤマシタ エギスッテ スリム 1.7N
  4. Colman's Bullet Head Squid Jig (Non-Weighted - Standard)
  5. Colman's Bullet Head Squid Jig (Non-Weighted - Custom)
まずヤマシタのレンジハンター。こちらは、サイズが 1.5、1.8、2.2 と3種類、各々のサイズに、シャロー(S)、ベーシック(B)、ディープ(D) がある。この S/B/D は、沈んでいく速度のレーティングで、S がもっとも遅く、D が最も速い。最近は、S と B の中間の、BS というのも発売されたらしい(もともと日本国外で売られていた、Type R というものと同等と思われる)。


小さいイカが多いときは、1.5 の方が針掛かりが良いこともあるが、イカの反応自体は 1.8 でもあまり変わらないし、1.5 は針が一列(D だけは二列だったと思う)で直径が小さめなので、大きめのが掛かると、バレることが多くなる。2.2 はこのあたりのイカのサイズからすると少し大きすぎて、反応が悪くなるようだ。

スピードに関して言えば、少なくとも、私の行く釣り場では、D はちょっと速すぎて、単体ではちょっと使いにくい。釣り友達のOさんは、この D と S をタンデムで使う仕掛けをよく使うが、単体ではまず使わない。

基本的には、B を使うケースが多いが、S はゆっくり落ちていくので、水面近くに活性の高いイカの群れが見えているときや、水深10フィートくらいまでの浅場で有利になる。

「ジグはこれがお勧めですよ」と教えると、次に必ず聞かれる質問は、だいたいが「どの色が良いですか?」である。私も昔はあれこれ色違いをとっかえひっかえして、今日はピンク系だとか、色が重要な要素だと思っていたが、現在の私の考えは、「あんまり関係ない」である。まぁ、多少はあるかもしれないが、形状や速度・アクションなどの要素の方がよっぽど重要だと考える。

まぁ、「何色でも好きなものを買えば?」というのも不親切きわまりない。ということで、私の回答は、「オレンジかレッドヘッドの布巻き」である。理由は、イカの反応がよいというよりも、他の色に比べて見やすい、である。この見やすいというのは浅いところにいるイカを釣るのに非常に重要な要素で、イカの反応を見ながら誘いを入れたり、イカがジグを抱いたタイミングでフッキングすることが可能になり、確実に釣果があがる。

レンジハンターはエギスタイルのジグの中ではベストと思われるが、問題はアメリカ国内で入手が困難なこと。私は日本に行く度に私の分と釣り仲間の分を買いだめしてきたりしていたが、朗報がある。だいぶ昔釣り場で知り合った日本人の Tomo という人(彼は釣りの名人で、このあたりのカヤックフィッシングのコミュニティでは有名人)が最近 Salem に Tomo's Tackle という店を開いた。彼は日本からレンジハンター各種を仕入れてきてリーズナブルな値段で売っているので、レンジハンターが欲しければ問い合わせしてみてください。(勝手にこんなこと言っちゃっていいのかな?)


次は、ヤマシタのエギスッテスリム。



こちらは、エギとしてもスッテとしても使える、非常にゆっくり落ちていくタイプ。 5フィートぐらいしか水深がないところ、表層を泳いでいるが反応の悪いイカなど、どちらかというと、横の動きで釣りたいときに使用する。もう7,8年前になるだろうか。Beverly Pier の以前ハーバーマスターの建物があったあたりで釣りをしていたとき、このジグの効果は絶大だった。あの頃は、他の釣り人の5倍から10倍くらい釣っていたことも多々あった。

1.7 というのは絶妙なサイズで、このあたりの平均的なイカには最適なのではないかと思う。あとこのジグの一番の特徴は、名前にもあるように、細長いこと。以前、似たようなサイズや、少し小型のジグなどいろいろ試してみたが、このエギスッテスリムより良かったことは一度もなかった。違いはやはり形状だと思う。どうもこのあたりの以下は、でっぷりしたジグよりも、細めのジグの方が反応が良いようだ。最初に書いた、レンジハンターも、他メーカーの似たようなサイズのジグに比べて、やや細めである。

近年はこのジグの出番は少なくなったが、それでも胴付き仕掛けで底に錘をつけるスタイルで釣りをするときはいつもこれを使っている。やはり、非常にゆっくりなのが良いらしい。


このジグ、針が細いので、根掛かりしても、ロストする率が非常に低い。私は、胴付き仕掛け用のものとは別に、錘を接着して速度調整したものを、浅場で広く探りたいときなどに使っている。

残念ながら、こちらは廃番となってしまったようで、近い将来手に入らなくなるかもしれない。現在のところ、上記の用途で代わりになるものは見つからないので、以前まとめ買いをして、30くらいストックしている。


最後に、Colman's の Bullet Head ジグ





上の写真はいずれも Non Weighted のバージョンだが、左は新しいモデル(Custom)で、右は古いモデル(Standard)。どうやら、古いモデルは在庫限りの模様。この2つのモデル、実は沈む速度がだいぶ違う。私はこの2つのジグは、底近くを釣るときに多用するのだが、新しいモデルはかなりゆっくり目で、20フィート以上水深があるところではかったるい。ということで、新しいモデルは浅めの釣り場や、意図的にゆっくり落としたいとき、古いモデルは風が強めでラインがあおられるときや、深めの釣り場、と使いわけている。

このジグは3年ぐらい前から多用している。以前、Woods Hole などに釣りに行ったとき、Vietnamese の連中が好んで使用していた。初めて使ったときは、どうも慣れていなかったようで、あまり良い印象はなかったのだが、3年前に Marblehead で喰い気のないイカが見えていて、あれこれ試しているうちに、このタイプのジグにだけ反応したことがあった。

アメリカ国内で比較的簡単に手に入るので、根掛かりしてもあまり痛くないこと、一般的なエギなどに比べて速く沈むこと、などなど、いろいろメリットがあり、底の釣りで多用しているうちに、かなり釣り方がわかってきた。現在は、今回紹介した中でも一番使っている時間が長いかもしれない。

私の釣り仲間の間では、このジグは、Stupid Jig と呼ばれている。Tony と話していたとき、彼がこのジグの名前を知らなくて、「あの、なんだっけ、stupid なやつ」と言っていたのがきっかけで、すっかり Stupid Jig という名前が定着してしまった。

Bullet Head ジグには、Weighted バージョンもあるのだが、フックが大きく根掛かりしやすいこと、ちょっと速すぎるので、使いにくい。昨年、Salem で25フィートくらいの水深の底近くで釣っていたとき、Weighted バージョンを底に、エギスッテスリムを胴付きにして大量に釣っていたことがあったが、このスタイルは本当にイカの大群がいて、活性が高いときしかうまくいかない。

私としては、このスタイルのジグで、いろいろな速度のものが欲しい。Weighted はちょっと速すぎるし、古いモデルでも風が強いともう少し重めのものが欲しくなるので、最近は上の Non-Weighted のものを買って、鉛テープを巻いて、重さを調整したものをいくつか持っている。

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