2010-04-20

イカ釣りの思い出

私が釣りを始めたのはかれこれ20年近く前、まだ日本にいた頃の話である。釣りをしたいなと思って始めたというよりは、ヨットレースの合間の時間つぶしだった。当時、友人に誘われて、クルーザーレースのチームに入った。まぁ、お金持ちのオーナーの道楽でやっているチームにクルーとして参加しただけなので、たいした自己負担もなかった。結局、日本を離れるまで毎週のようにヨットに乗って、いろいろなレースに参加させてもらった。

当時、そのヨットは浦賀のコーチヤというヨットハーバーに置いてあった。普段は久里浜沖から金田湾近辺で練習をしたり、 クラブレースに出たりしてたのだが、相模湾で開かれるレースや、オーバーナイトの外洋レースにもちょくちょく出ていた。相模湾への遠征や外洋レースの際には、前日からハーバーに泊り込みで来ることが多々あった。ゴールデンウィークなどはオーナーがハーバーの近くに所有していたマンションの一室で合宿したりすることもあった。

ヨットハーバーは浦賀港の入り口近くの潮通しの良いところにあり、堤防からはアジやキス、メゴチ、カレイ、アイナメなどが釣れた。釣具屋のワゴンセールで売っているような安い竿とリールのセットを持って、ヨットの合間にあれこれ釣りを楽しんだ。

年によってまちまちだが、だいたい6月頃になると、ヨットハーバーの灯りに誘われて、アカイカがやってくる。夜、ヨットを係留するポンツーンの灯りの下にイカが泳いでいるのを見つけて、何とか釣れないものかとイカの仕掛けを買ってきて試した。当時はずぶの素人だったので、何を使えばいいのか分からなかった。最初に買い込んできたのは、船釣りでのスルメイカやヤリイカに使うようなプラ角。さっそく泊り込みで来ていた仲間と釣りを始めて、十数杯釣れてしまった。さっそく刺身にして食べると、これがたまらなく美味しかった。これに味をしめて、何度かトライしたのだが、この後イカが見えていてもプラ角では釣れなくなってしまった。

この後どこからか餌木というものを使うと良いらしいという話を聞いてきて、今度は餌木を買い込んできて試してみた。結局、数杯釣れることはあっても、初めてプラ角で釣ったときのように十杯を越えることはなかった。そういえば、翌年、餌木にスミイカが掛かったことがあったな。

アメリカに転勤になって、ヨットとは縁があまりなくなったが、その代わりに釣りにはまり始めた。最初の頃は、何がいつ、どこで釣れるのかまったくわからなかった。Beverly Pier でイカが釣れるという話を聞いたのはもう10年以上前。さっそく釣具店で Squid Jig を探して手に入れたのだが、これがまたごっついオレンジのプラスティックにイカ針がついた、職業漁師が沖合いで使うようなしろもの。まったく釣れなかった。日本から持ってきた、ガス糸を巻いたスッテや、餌木(よく売っているアオリイカ用のもの)などを持ってある夜 Beverly Pier に入ったところ、イカの大群が泳いでいた。大興奮でなんとか釣ってやろうと試行錯誤したが、確か2杯しか釣れなかった。その近くで釣りをしていたギリシャ人のおじさんが次から次へと釣っていくのを恨めしく見ていた。(このおじさんは常連の一人で、今は会えば声を掛け合う仲になった。)

あれから10年。あれこれ試行錯誤を繰り返して、自慢ではないが Beverly Pier でイカ釣りをしていると他の釣り人が寄ってきて、どうしたらそんなに釣れるんだ?と聞いてくるほどになった(やっぱり自慢か)。イカ釣りは本当に奥が深くて面白い。数ある釣りの中でも一番好きな部類にはいる。

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